Q.更年期に向けて今できることはありますか?(相談者・47歳女性)

HEALTH

婦人科で更年期について調べたらまだホルモンはあると言われましたが、明らかな更年期症状が出ている気がします。若い時はPMSが軽かったのですが40歳過ぎた辺りから生理前の症状がしんどく、何もしたくないです。育児に仕事に心も低下します。サプリメントや運動や漢方薬、ネットや人の話など聞いて色々試してますが、月に調子がいいのは1週間ぐらいで3週間はずっと体と心がしんどくなります。これから50代になり閉経をむかえるともっと悩みが増えそうです。
そこで、今やれば将来の不安を軽減する行動や思考を教えて欲しいです。

この質問に答えてくれたメディカルパートナーは…


正路 貴代 
(広島駅前泌尿器科クリニック/広島市南区猿猴橋町)

経歴:
大阪府出身。2002年広島大学医学部卒業。
広島大学病院、市立三次中央病院を経て、現在広島駅前泌尿器科クリニック、中電病院産婦人科、広島赤十字原爆病院産婦人科で勤務。臨床遺伝専門医。

専門分野:
産婦人科一般、遺伝カウンセリング、出生前診断


更年期は閉経前後5年を指します。日本人女性の閉経は45−55歳がほとんどで、平均は50−51歳と言われています。早い人なら40代前半から更年期に入ってきます。更年期の時期は女性ホルモン(特にエストロゲン)が乱高下しながら徐々に低下していくために症状が出ると言われています。症状は多岐に渡り、その程度も人それぞれです。

また、PMSは排卵後にエストロゲンともう一つの女性ホルモンであるプロゲステロンの分泌の変動に伴って起きると言われています。はっきりとした原因はわかっていませんが、こちらも症状は200種類以上あると言われます。PMSは更年期症状とは違ってホルモンのバランスが乱れて起こるものではありませんので、PMSと更年期症状は原因が異なるものです。しかし、症状が被っていることも多く、更年期症状が出てくるタイミングでPMSが強くなったと感じている人は多いと思います。

PMSや更年期症状を発症しやすい人は、ストレスが多い人、律儀で真面目、責任感が強く几帳面な人などの傾向が見られます。また喫煙やカフェインをよく摂るなど食生活も影響していると言われています。

ただ、更年期症状のために生活や習慣を変えてくださいと言われてもいきなりできることではありません。友人と話す、趣味の時間を作る、ストレッチや散歩など軽く体を動かすなど、少しでも生活の中に取り入れることができれば良いと思いますが、それでも改善がない場合は、積極的に漢方薬エクオール(大豆由来の成分)などのサプリメントの他、ホルモン補充療法も検討されると良いでしょう。ホルモン剤に抵抗があった方でも「実際に使用してみると楽になって使って良かった」と言われる患者様も多いです。ただし、副作用の面で使用できない方もいらっしゃいますのでまずは婦人科医に相談してください。

また、精神的な症状が強い場合は、心療内科や精神科の先生にも相談しながら治療します。今は薬の種類も多く副作用が少ない薬剤も増えていますし、一時的な使用で済む場合も多いため、あまり負担に考えられなくて良いと思います。

更年期は長い人生の一時的な期間であり誰しも通過する時期です。症状の差はあれ更年期がない女性はいません。また更年期は一生続くものではありません。

歳を重ねるということは心身にも必ず影響が出てきます。若い頃と同じようにできないことを責める必要はありません。「しんどい時はしんどい」と周りに頼れる余裕ができると気持ちが楽になると思います。少しでも前向きな気持ちになれるよう婦人科医もお手伝いできればと考えています。

※症状には個人差がありますので必ず医師にご相談ください

閉経に向けてどう変化する? 更年期障害かも…受診のタイミングは? とお悩みの方におすすめの記事



更年期症状や生理など健康についての悩みや疑問をお寄せください。体験談も受け付けています。

正路 貴代

産婦人科医

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皆さま、こんにちは。 広島駅前泌尿器科クリニックで婦人科を担当しております。他に、広島市内の総合病院で婦人科外来・手術を行っております。 私は大学生の早い時...

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