Q.更年期症状はいつまで続きますか?(相談者・58歳女性)

HEALTH

更年期障害の代表的なホットフラッシュの時期は過ぎたのですが、とにかく締め付けられるのがダメで服もゆったりして伸びるもの、ブラジャーすらもしたくない、寒いのに靴下すら履きたくない毎日が続いて辛いです。
いつまで続くのか、もうこのままなのか、この先が不安です。


この質問に回答してくれたメディカルパートナーは…


吉川徹
(広島赤十字・原爆病院 緩和ケア科)

【経歴】
広島市出身。修道高校53回卒。2007年関西医科大学卒業。
大阪での修行を経て2014年より広島に戻ってきて、広島大学病院、広島赤十字・原爆病院、頼島産婦人科で産婦人科医師として従事した後に、産まれることとは反対の死ぬことということにフォーカスを当てた医療を行いたいと考え2021年より緩和ケア科医師として広島赤十字・原爆病院に勤務。生と死という一見相反するものをどのように受け止めていくか、探求をしながらそれを広めていくため教育にも携わるようにしている。

【専門分野】
産婦人科、思春期、更年期治療、腹腔鏡手術、不妊治療、緩和ケア、終末期医療


服を着るのに不快な症状があるというのは、日常生活をするうえでも困るし、辛いですよね。更年期障害の回答に移る前に、大切なことが一つあるので、まずそれを理解しておいてください。

更年期障害の起こる年齢の女性に起こりやすい、似た症状の病気として甲状腺機能異常があります。甲状腺というのは首と胸の境目のあたりにある、ホルモンを分泌する臓器です。甲状腺機能が活発になりすぎたり、低下しすぎることで更年期障害に似た症状が起こることが知られています。そのため、病院を受診して更年期障害と診断されているのであればよいのですが、そうでなければ一度甲状腺の機能に問題がないか、内科で検査をしておくことをおすすめします。

それでは、ここからは、甲状腺に問題はなく、更年期障害ということで話を進めますね。
症状がいつまで続くかというのは、はっきりとしたことは言えないのですが、更年期というのは一般的には閉経の前後5年間くらいの合計10年間を定義していることが多いです。

そして、なぜ更年期障害のような不快な症状があるかというと、徐々に卵巣の機能が低下して、女性ホルモンの血液の中の濃度が下がってくるからと言われています。そのため、閉経する前からホルモンが減ってきて、平均的には50歳くらいで閉経となります。ただし、閉経したからといってホルモンはゼロになるわけではなく、少量ですが存在しており、だいたい60歳代半ばまで女性ホルモンは血液の中にあることがわかっています。このように、徐々に低下してくる変化を体が感じて、更年期障害が起こるわけです。逆に、ホルモンが増えてくるという変化で体調が悪くなるのが思春期と考えてもらうと、理解しやすいかと思います。

今回のような、締め付けが辛いという症状は、更年期障害による浮腫が原因だったり、ホルモンバランスによる自律神経の乱れで皮膚の感覚が過敏になっていることが考えられます。

このように、平均的には10年間くらいと言われる更年期障害ですが、人によってはもっと長く続くこともありますし、程度や症状も様々です。そのため、不快な症状が続く場合は、漢方薬やホルモン剤などを試してみることをおすすめいたします。産婦人科を受診して、更年期の相談ですと伝えていただくとよいでしょう。


※症状には個人差がありますので必ず医師にご相談ください


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吉川 徹

産婦人科医

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皆さんこんにちは。 僕は、生と死という人間産まれてくる以上は必ず経験することを苦しみなくどのように自然に過ごすことができるのかということを考えて医療をしてき...

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