Q.子宮頸がんワクチンについて教えて下さい(相談者・49歳女性)
子宮頸がんワクチン(9価)はどのくらいの方が接種しているのでしょうか?
副作用もまちまちで、知り合いの娘さんは歩きにくくなって数ヶ月クラブ活動も休み、一時はどうなるかと思った…との話も聞きました。
娘はこれから大学受験を控えており、ワクチン接種後に何かあると困るので余計に接種にふみきれません。
この質問に回答してくれたメディカルパートナーは…
吉川徹
(広島赤十字・原爆病院 緩和ケア科)
【経歴】
広島市出身。修道高校53回卒。2007年関西医科大学卒業。
大阪での修行を経て2014年より広島に戻ってきて、広島大学病院、広島赤十字・原爆病院、頼島産婦人科で産婦人科医師として従事した後に、産まれることとは反対の死ぬことということにフォーカスを当てた医療を行いたいと考え2021年より緩和ケア科医師として広島赤十字・原爆病院に勤務。生と死という一見相反するものをどのように受け止めていくか、探求をしながらそれを広めていくため教育にも携わるようにしている。
【専門分野】
産婦人科、思春期、更年期治療、腹腔鏡手術、不妊治療、緩和ケア、終末期医療
副作用について怖い報道がたくさんあったので、自分の子供も頻度は少ないとはいえ、 そのようなひどい副作用のケースに当てはまってしまうのではないかと、とても不安に思ってしまいますよね。
2024年2月の時点で厚生労働省のデータでは 34万人程度に「シルガード9(子宮頸がんおよびコンジローマの原因となるウィルスの予防ワクチン)」が実施されていると報告されております。
公費負担で実施できるということもあり 今は以前からある2価や4価を希望される方はほとんどいないのが現状です。
極端に恐れる必要はないですが、しっかり納得されて決められるようにしてくださいね。
ワクチンの副反応について
Q:どのような副反応があらわれますか?
副作用の頻度として多いものとしては、接種部位の疼痛が挙げられます。半分以上の人が経験されると言われてて、ほぼ確実に起こると考えてもいいでしょう。他に頻度の多いものとしては頭痛や発熱、かゆみです。10%未満に起こりやすいと言われてます。そして、インフルエンザのように発熱に加えて、全身の関節の動かしにくさとか痛みが1%未満と言われており、他にも下痢や倦怠感も1%未満と言われてます。
重篤なものとしては、アレルギー反応、特にアナフィラキシーと呼ばれる分単位で起こる急激な反応で、皮膚に赤みが出て呼吸が苦しくなり最悪死亡するような怖いものもあります。ギラン・バレー症候群や急性散在性脳脊髄炎など神経系の病気や、血小板減少性紫斑病など血液の副作用も重篤なものとして報告されています。
Q:重い症状はどの程度の確率でどのような症状があらわれますか?
重篤な副作用の報告としては1万人あたり5人程度と言われており、0.05%程度と報告されております。そして、9割の人が回復したと確認されているそうです。ギラン・バレー症候群というものが代表的なもので力が入らない、感覚がわかりにくい、しびれるなどの症状が起こります。重篤なものだと呼吸筋の麻痺や、自律神経の異常(重度の血圧変動により起き上がれない、不整脈など)で生命に係る場合もあるとされています。
Q:歩きにくくなるような症状は重い症状にあたりますか?
歩行しにくくなるという副作用は数日以内のものであれば、インフルエンザのような症状として軽度のものと考えられますし、それを超えて長期間続くようなら重篤なものと考えていただいてよいかと思います。
副反応が心配で接種するか悩んでいる方へ
ワクチン全般に言えることですが、重篤な副作用は少ないながらも一定確率で起こります。ただ、もっと起こる可能性が高く、重症化しやすい病気(HPVワクチンの場合は、子宮頸部がん)の予防をできることで、命を守るということに繋がります。
絶対に予防接種をしないといけないということではありませんが、せっかく予防できる手段があるので前向きに検討・相談されたらいいかなと思います。
個人的な想いにはなりますが、子宮や卵巣のがんは若い方でもなりやすく、20歳代~40歳代と若くてまだ子どもの小さい女性の方がそれらの病気で亡くなっていくの何回も見てきました。子宮頸部がんはその中でも予防できる病気なので、世の中からなくせるといいなと感じています。
厚生労働省でワクチンや感染症の相談窓口や、広島県からも副作用があったときの医療機関の紹介やワクチンに関する情報を聞ける窓口がありますので、そういったところで個別に相談してみるのも良いと思いますよ。また医療機関に受診してみて直接医師や看護師からお話を聞いて最終的に決められるのも良いと思います。
(広島市HPより:06ワクチンの相談窓口 子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)について – 広島市公式ホームページ|国際平和文化都市 )
※悩んでいる方は医師にご相談ください
子宮頸がんの原因とワクチン
子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスが関わっています。
ヒトパピローマウイルス(HPV)の中には子宮頸がんをおこしやすい種類のものがあり、HPVワクチンはこのうち一部の感染を防ぐことができます。
小学校6年~高校1年相当の女性は、予防接種法に基づく定期接種として公費によりHPVワクチンを接種することができます。
現在日本において受けられるワクチンは、防ぐことができるHPVの種類によって3種類あります。(2価ワクチン、4価ワクチン、9価ワクチン)
子宮頸がんについての説明やHPVワクチンの効果などが掲載されています。
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~|厚生労働省
子宮頸がんってどんな病気?シルガード9はどんなワクチン?などの疑問を動画で分かりやすく解説してくれています。
女性特有の健康についての悩みや疑問をお寄せください。体験談も受け付けています。
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