Q.生理不順になる事が多く、生理が3ヶ月ぐらいきません。どうしたらいいか教えてください。(相談者・39歳女性)
このほかにも「生理が来ない。楽だけどこのままでいいの?」「生理が不規則で来る」など、生理不順に関する相談が20代から50代まで様々な年代の方から寄せられています。
なぜ生理不順になるのか?どんな時に病院を受診したらいいのか?など様々な角度から教えていただきます。
この質問に答えてくれたメディカルパートナーは…
正路 貴代
(広島駅前泌尿器科クリニック/広島市南区猿猴橋町)
経歴:
大阪府出身。2002年広島大学医学部卒業。
広島大学病院、市立三次中央病院を経て、現在広島駅前泌尿器科クリニック、中電病院産婦人科、広島赤十字原爆病院産婦人科で勤務。臨床遺伝専門医。
専門分野:
産婦人科一般、遺伝カウンセリング、出生前診断
生理不順
生理不順(月経不順)は、生理周期の異常や出血日数の異常のことをいいます。
生理は子宮の内膜が剥がれ落ちる現象ですが、この仕組みは脳の視床下部から下垂体を経て卵巣、子宮に至るまでいくつものホルモンで制御されています。どこに異常があっても生理不順は起こります。
例えば、精神的や肉体的なストレスを受けると視床下部に影響して生理不順が起きます。受験や就職、生活の変化がきっかけで生理不順となることはよくあります。また過度のダイエットや激しい運動なども生理不順や無月経の原因となります。
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮ポリープ、多嚢胞性卵巣や排卵障害など子宮卵巣の異常はもちろん、その他甲状腺機能異常、血液疾患、腫瘍、薬の影響など全身性の病気でも生理不順は起こります。それぞれの原因に応じた治療が必要となります。
では、生理不順とはどういった状態なのか具体的に説明します。
生理周期は生理が始まった日から次の生理が始まる前日までをさし、25〜38日間が正常です。前後6日間までの変動は正常範囲ですので、普段30日周期なのに25日になったり、35日になったりするというような場合はあまり問題ありません。
生理周期が24日以内の場合は頻発月経、39日以上の場合を希発月経といいます。また、3ヶ月以上生理がない場合は続発性無月経と呼びます。
頻発月経の場合は生理が頻回で煩わしく貧血症状も出てくるため受診されるケースが多いですが、無月経の場合は生理がないことに慣れてつい受診を後回しにしがちです。
しかし、無月経を長期間放置すると将来妊娠しにくくなったり、卵巣機能に悪影響を及ぼしたりする可能性があり、さらに癌のリスク上昇や骨粗しょう症にも影響するため自己判断せず婦人科に相談してください。
もちろん妊娠・授乳中、閉経期の無月経は問題ありません。
生理の持続日数は3日〜7日が正常で平均4.6日と言われます。若い頃より生理が早く終わることを気にされる方も多いですが、年齢が上がると生理の日数は短くなる傾向です。生理が3日、4日になっても毎月順調に来ているようであればすぐに閉経というわけではありませんのであまり心配はいりません。
逆に8日以上生理が続く場合を過長月経といい、この場合は筋腫など子宮の病気や貧血の可能性があるため早めに受診されることをすすめます。
原因と受診のタイミング
次に年齢別に生理不順の原因や受診のタイミングについて述べたいと思います。
10代の若い世代は性成熟が未熟でありストレスも受けやすく生理不順は頻繁に起こります。特に初潮から数年間は8割の方に生理不順があると言われています。
従ってある程度の不順は経過をみて問題ありませんが、3〜6ヶ月以上生理が来ない場合や、出血がダラダラ続いて止まらない場合は婦人科診察を受けてください。内診しなくてもお腹からの超音波検査で子宮卵巣の様子をある程度確認できます。
また15、16歳頃になっても初潮が発来しない場合は婦人科を受診しましょう。
20代—30代の性成熟期には生理不順は落ち着いていることが多いです。この時期に生理間隔が一定にならない場合は婦人科診察をすすめます。
治療は妊娠を希望しているかどうかによって変わります。すぐに妊娠希望がない場合は漢方薬やピルで生理を整えることがメインとなります。
筋腫、ポリープなどがあるときは手術について担当医とよく相談しましょう。また、甲状腺機能の異常や血液疾患などで生理不順となっている場合は内科的治療を行います。
今現在妊娠を考えている場合は早めに婦人科や不妊専門施設に相談されてください。生理不順の原因は不妊の原因にもなっていることが多く、より積極的に治療を行います。
多嚢胞性卵巣症候群など無排卵周期の場合は排卵誘発を行うことで妊娠の可能性が上がります。状況に応じて腹腔鏡手術や人工授精や体外受精も検討していきます。
閉経に近づくと卵巣機能が徐々に低下してくるため生理不順が起こりやすくなります。早い人では40歳前後から生理がずれ始めます。生理が不順になったからすぐ閉経というわけではありませんのである程度は様子をみてもかまいませんが、漢方薬やホルモン治療を行うこともできますので気になる方は相談してください。
もともと生理が不順な方は閉経時期も早くなることがありますが、特に45歳未満で閉経した場合は骨粗しょう症などのリスクが上がりますのでホルモン治療を検討します。
50歳前後になり閉経間近になるとさらに生理は不順になっていきます。
多くは生理的なものですが、中には治療が必要な病気が隠れていることがあり注意が必要です。不順が続く場合や生理が止まらない、貧血症状がある場合は必ず婦人科診察を受けてください。
受診時に思った以上に貧血が進んでおり鉄剤投与や輸血が必要となるケースや、閉経だからと思い込んでいて実は癌だったというケースも実際に経験します。癌検診を含めた婦人科診察が重要となります。
以上のように、生理不順は原因も多岐に渡り、年齢や妊娠を希望するかによっても治療法が変わってきます。
気になる症状があれば一度婦人科を受診し、治療の必要性や治療法について相談されるとよいでしょう。
※症状には個人差がありますので必ず医師にご相談ください
生理や更年期症状など健康についての悩みや疑問をお寄せください。体験談も受け付けています。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。