Q. 生理前になるとPMSで食欲が止まらず、普段より食べ過ぎてしまいます。暴飲暴食すると肌荒れするとわかっていても食べずにはいられないのですが、食欲を抑える方法はありませんか?(相談者・32歳)

生理の悩み相談

この質問に回答してくれたメディカルパートナーは…


貞森理子院長(さだもりレディースクリニック/広島市中区)

【経歴】
大崎上島町出身。1994年福岡大学医学部卒業。医学博士。2012年、広島市中区大手町で産婦人科クリニックを開業。

日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医であり、幅広い世代の女性特有疾患の診療に尽力している。産婦人科医のいない地域での診療にも携わっている。

専門分野:産婦人科、女性ヘルスケア


PMSの症状はとても辛いですね。ご相談頂きありがとうございます。

まずは月経前にどのような症状があるか、いつ頃その症状が消失するかなど、記録することでご自分の状態を把握することができると思います。

月経前はプロゲステロンという女性ホルモンが出る時期です。このプロゲステロンの影響で血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが悪くなると言われています。インスリンの効果が弱まれば血糖値は上昇します。そうすると血糖値を下げようと、さらにインスリンがたくさん働いて逆に低血糖状態になります。そのため、空腹感や倦怠感などが出現し、回避しようと食欲が亢進するため、食べ過ぎてしまうのです。こういう時期は食欲以外に集中できる対策を考えると良いと思います。

PMSの症状が強い時期は過密なスケジュールにしないよう、リラックスできる環境づくりも大切です。ご自分の趣味など好きなことをされるのも良いと思います。

カルシムやマグネシウムの摂取を心がけたり、カフェインやアルコールの過剰摂取や喫煙を控えたりすることも有効と言われています。

どの治療を選択しても、適度な運動やバランスの良い食事、良質な睡眠、ストレスをため込まないなど、ご自分の体調を管理するセルフケアはとても大事です。

薬物治療は、それぞれの特徴を理解し、ご自分にあった治療法を見つけていただくことが重要です。対処法は必ず見つかりますので、専門医と相談されることをお勧めします。


月経前症候群(PMS)とは

月経前(生理前)3~10日間くらい続き、月経開始とともに減少していく心と身体の不調です。

主な症状は、

身体症状:腹痛、腰痛、乳房の張り、だるさ、ニキビ、食欲増加、眠気など

精神症状:いらいら、怒りっぽい、気力低下、不安感など

原因は不明ですが、ホルモンや自律神経機能の変化などが発症に関与すると考えられています。

PMSの治療

薬物療法:ピル、漢方、精神安定剤、抗うつ薬、ビタミンEサプリなど

心理療法:カウンセリング

ピルは排卵をおさえて月経前のホルモン変動をなくすことで症状が緩和していきます。

漢方薬は個人に合わせて治療薬を選択します。

例えば、頭痛の場合は、痛みの部位、出現間隔、天候での変化、嘔気・めまいのような他症状を伴うかどうかなど詳しい問診をもとに、脈や舌、腹部を診察し漢方薬を選択します。

精神神経症状が強い場合は、精神安定剤や抗うつ薬を使用する場合もあります。

月経前に精神の不安定さが著明になる重症な状態を月経前不快気分障害(PMDD)と言い、日常生活や対人関係に大きな支障をきたす状態があります。また、既存疾患が月経前に増悪する状態をPME(月経前増悪)と言います。他科の先生と協力して治療を行うことで、より良い効果を期待できます。

※症状には個人差がありますので必ず医師にご相談ください。

貞森 理子

産婦人科医

460 views

みなさま こんにちは。 当院はみなさまに一番近い場所で寄り添う産婦人科クリニックです。スタッフは全員女性です。産婦人科関連の症状や疾患は、誰にでも相談できる...

プロフィール
  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

関連記事一覧